キリル・ペトレンコ時代への大いなる期待
先日、ベルリン・フィルの公式チャンネルに、キリル・ペトレンコが次期首席指揮者に就任すると発表されてから初めて定期に登場した際の演奏会のダイジェスト版が載りました。
断片的な音源ではありますが、素晴らしい出来です。
さすがベルリン・フィル、指揮者の選択を誤りませんなあ。
キリル・ペトレンコという指揮者は、その名声に比して極端に音源が少なく、ベルリン・フィルの後継候補に挙げられていると聞くまで、恥ずかしながら全くのノーマークでした。
なお、そのときの記事をリブログ(もう2年以上前なのか!)
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この記事で引用したスクリャービンでも大器の片鱗を感じてはいましたが、指揮者の実力を推し量るにはやはりハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンを聴くのが一番分かり易い。
古典派の音楽には西洋音楽のエッセンスの全てが詰まっていますので、偉そうな言い方をしてしまいますが、(よく言われるように)古典派をどのように演奏するかを見ると「楽譜が読める人かどうか」がすぐに分かってしまいます。
演奏者からは恐ろしい曲とも言われるわけですね。
そこに来て、このモーツァルト(ハフナー)。
楽譜に書いてあることを忠実に再現しているだけ(ここが極めて重要)なのに、しっかりと指揮者の色が出ています。
それに、ペトレンコはとても「運動神経の良い」指揮者のようなので、指揮姿を見ているだけでも楽しい指揮者ですね。
表情も豊かです。
先ほど「楽譜に書いてあることを忠実に再現しているだけ」などといとも簡単に書いてしまいました。
しかし、記譜というのは非常に不完全なものなので、「楽譜に書いてあること」を読むというのは、テンポや和声などに関する基本的な知識だけでなく、当時の演奏習慣やその作曲家の記譜のクセまで知らなければできない作業なのです。
それだけに、楽譜に書いてあることを忠実に再現できるかどうかという段階で多くの演奏家は振り落とされてしまいます。
ともかく、ペトレンコ時代(The Petrenko era)への期待がどんどん高まっていく今日この頃。
早く色々な録音がリリースされるといいな~、と思ってます。