オススメ本「和光だより 刑事弁護教官奮闘記」
和光だより 刑事弁護教官奮闘記/現代人文社
今日ご紹介するのは「和光だより 刑事弁護教官奮闘記」です。
司法修習生には割と知られている本なんですかね?
司法研修所の刑事弁護教官が所属弁護士会(横浜)のメーリングリストに投稿したエッセイをまとめた本です。
ところで皆さんは「司法研修所の刑事弁護教官」という職業?がどのようなものかについてご存じでしょうか?
司法試験に合格すると、裁判官・検察官・弁護士になるために「司法修習生」という立場で研修をすることになります。
司法修習のプログラムには、「前期修習」~「実務修習」~「後期修習」とありまして、前期修習と後期修習については埼玉県和光市にある司法研修所で、実務修習については全国各地の地方裁判所・地方検察庁・弁護士事務所で研修が行われます。
司法研修所では、1クラス70人程度のクラス分けが行われており、各クラスに「民事裁判」「刑事裁判」「検察」「民事弁護」「刑事弁護」担当の教官(現役の裁判官・検察官・弁護士)が各科目一人ずついます。
つまり、司法研修所で刑事弁護という科目を教えている現役の弁護士さんが「司法研修所の刑事弁護教官」ということになります。
書名の「和光だより」にある「和光」は司法研修所の所在地のことです。
(ただし、和光に移転する前は湯島にありました)
そして何を隠そう、本書の著者である大木孝先生は、私が司法修習生だったときに私のクラスを担当されていた刑事弁護教官なのであります。
つまり、本書に出てくる付き合いの悪い「現行60期」の修習生(27ページ参照)とは私たちのことです。
エッセイとは言っても、「刑事弁護」という科目で勉強することになる内容(とりわけ事実認定に関する部分)がかなり具体的に分かりやすく書かれているので、現役の司法修習生さんにもオススメの本です。
例えば、自白の信用性の評価要素に関する語呂合わせなども出てきて、私たちが実際に教官から教えていただいた内容でしたので、とても懐かしく思いました。
これから司法試験を受験しようと考えている方にとっても、司法修習の実態が垣間見え、合格後のイメージを持つことができますので、モチベーション維持に役立つと思います。
また、オススメの法廷小説リスト(こちらも修習時代に教えていただいたものと同じものと思われます)も掲載されています。
本書を読むと、あらためて教官という職業?の大変さがよく分かります。
大木教官は非常に熱心な方でしたので、起案の採点や講義の準備などで、寝る時間も削られていたのではないかと推察します。
懲役3年、罰金2000万(教官になると3年間本業がまともにできないほど時間的に拘束され、2000万円の経済的損失を被るという都市伝説)とはよく言ったものです。
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