岡弁(岡山県倉敷市の弁護士)ブログ

岡山県倉敷市で法律事務所を経営する弁護士(若手→中堅)が日々の雑感をつぶやきます。紛らわしいですが岡山弁護士会の公式ブログではありませんのでご了解ください(笑)

山本博文著「歴史をつかむ技法」を読みました。

歴史をつかむ技法 (新潮新書)/新潮社


山本博文さんの「歴史をつかむ技法」を読みました。

歴史を勉強する際、時代時代に応じてその時代に底流する大きな流れ(著者は「時代的な動因(要因)」と表現されています)をつかむことで、歴史の流れを自然なものとして捉えることができると著者は主張されています。

その上で、著者なりに「時代的な動因」を踏まえた日本史の通覧が行われており、とても参考になりました。

例えば、古代史において(本書の中では、時代区分をどのように考えるべきかについても言及があります)は、「皇統における直系」という概念を理解しておくことが重要だと指摘されています。

たしかに、日本の古代史は、皇統をめぐる争いという視点で見ると、非常にすっきりと理解することができるでしょう。



話は飛びますが、私が高校生のとき、日本史の授業で1年間古代史を勉強しました。
最後の授業でようやく平安京にたどり着いたと記憶しています。
試験では古代天皇家系図の穴埋めが出たり、非常にマニアックな内容でした。
大学受験が予定されていないせいか、今考えても自由な学校でしたね。。。



話を元に戻します。

本書の中では、古代において「皇統における直系」とは、単に父子で皇統を継承していくというに止まらず、「母が皇女であること」を資格とするのではないかとの学説が紹介されていました。

なるほど。

古代において「皇統」というのは、天皇家の内部だけで再生産されるべきものと考えられていたということであり、皇統から有力豪族の血を排除することで王権の確立が図られた、と。

説得力のある説だと思いました。


それから、本書の中で、歴史学は科学であるということで、「史料批判」が取り上げられていましたが、その中で、刑事裁判における証拠調べが例に挙げられていました。

著者は、史料批判というのは、裁判における証拠の評価手法と同じものだと述べています。

当ブログでも以前論及した通り、私は、歴史学の手法が裁判における事実認定の手法と類似のものではないかと思っていたのですが、まさに我が意を得たりといったところ。

法曹は、法律の専門家であると同時に、事実認定の専門家でもあります。
なぜなら、証拠を適切に評価する方法を、司法研修所で例外なく叩き込まれているからです。

私の夢は、裁判における事実認定の手法を歴史学に応用することで、歴史に新たな光を当てることです。(`・ω・´)キリッ

今度、歴史雑誌社にでも企画を持ち込んでみましょうか。


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