葉室麟著「無双の花」読了。
引き続き読書録。
葉室麟さんの「無双の花」です。
こちらの小説も主人公は立花宗茂。
「無双」というのは、立花宗茂が秀吉から「天下無双」と称えられたというエピソードがもとになっています。
ストーリーは、関ヶ原の後、西軍の敗残兵(宗茂自身は負けてはいないのですが)として柳川に帰ってきたところから始まります。
その後、柳川に返り咲くまでが中心に描かれており、関ヶ原以前については回想のような形式で触れられます。
童門冬二さんの「小説 立花宗茂」がライトノベル寄りなのに比べると、こちらはいわゆる「歴史小説」といってよいと思います。
立花宗茂には色々と有名なエピソードがあるのですが、作家によって表現が違うのがまた面白いところですね。
例えば(以下、ネタバレ)、私が好きなエピソードの一つに、
家臣が乞食に出かける時には、宗茂が留守番をしていた。ある日家臣が残飯を干飯にするために日に干して出かけた所、その日突然雨が降ってきた。家臣たちは宗茂がちゃんと残飯を雨に濡れないように屋内に取り込んでくれたかどうかと語り合い、「そんな些細な事に気をかけるような殿では、再仕官などおぼつかないだろう」という結論になった。案の定帰宅すると、宗茂は残飯を放置して雨に濡れるままにしていた。(Wikipediaより抜粋)
というものがあります。
関ヶ原の後、改易されて浪人中のエピソードで、宗茂を慕って付き従ってきた家臣が食うや食わずでなんとか主君を支えていた時代の話なのですが。
この作品では、「実は宗茂は気づいていたけど、家臣の期待を裏切らないためにあえて放置した」ということになっています。
私としては、本当に気にしていないという方が好みなんですけどね。
また、不仲といわれた誾千代(妻)との関係性は、童門作品よりさらに美しく描かれており、大河ドラマにするとしたら、誾千代との関係性については葉室作品を原作にして欲しいですね。
何度も言うけど、早く大河ドラマになって欲しいなあ。