第18回判例勉強会(破産法53条1項に基づく解除と違約金条項)③
次に取り上げられたのは、
請負人破産のケースにおいて、当事者間に違約金条項の定めがあった場合に、当該条項を破産法53条1項により解除した破産管財人に対して主張することができるか
が問題となった判例です。
この事例では、
①請負人が請負人解除条項(注文者の契約不履行による解除)の規定によらないで契約の解除を申し出たときには、注文者は契約を解除できる
旨の特約があり、さらに
②本件解除条項により契約が解除された場合には、注文者に提供された契約保証金は注文者に帰属する
との違約金条項が特約されていました。
これについて、札幌高裁平成25年3月27日判決は、破産法53条1項に基づく解除の場合は、上記の解除条項の場合に当たらないとして、契約の解釈により、違約金条項は適用されないと判断しました。
この判例を前提とする限り、少なくとも破産管財人による解除がなされてしまうと、違約金条項の適用はなくなってしまうので、もし注文者から相談を受けた場合は、可及的速やかにとりあえず解除の通知はしなければならないと思われます。
もっとも、すでにご紹介した東京地裁平成21年1月16日判決のように、注文者による解除条項さえも破産法53条1項により無効とされてしまえば、結果的には同じことになってしまいますが。
誰がどのタイミングで解除したかによって結論が変わるのは結論の座りが悪いような気もします。
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