岡弁(岡山県倉敷市の弁護士)ブログ

岡山県倉敷市で法律事務所を経営する弁護士(若手→中堅)が日々の雑感をつぶやきます。紛らわしいですが岡山弁護士会の公式ブログではありませんのでご了解ください(笑)

第18回判例勉強会(破産法53条1項に基づく解除と違約金条項)①

先日、弊事務所が主催している恒例の判例勉強会がありました。

今回の発表者は、当ブログの愛読者でもあるY先生でした。

今回取り上げられた判例は、いずれも「破産法53条1項に基づく解除と違約金条項」に関連する判例でした。

まず、一つ目の事例は、簡単に説明しますと、

賃借人破産のケースにおいて、破産管財人が賃貸借契約を解除した場合、賃借人が賃貸人に対して差し入れた保証金を違約金として返還しないとする合意が有効か否か

が問題となった事例です。

私は、直感的に、破産管財人の解除権を定めた破産法53条1項の趣旨を無にしないためには、破産法53条1項に基づく解除の場合には、違約金条項に拘束されるべきでないと考えました。
大阪地裁の倒産部(6民)も同様の見解に立っているようです。

しかし、東京地裁平成20年8月18日判決は、次のように述べて破産管財人も違約金条項に拘束されると結論付けています。

「…本件違約金条項は、賃借人側の事情により期間中に契約が終了した場合に、新たな賃借人に賃貸するまでの損害等を賃借人が預託した保証金によって担保する趣旨で定められたものと解するのが相当である。
 賃貸借契約の締結に付随して、このような定めを合意することは原則として当事者の自由であり、破産会社も本件違約金条項の存在を前提として自由な意思に基づき本件賃貸借契約を締結している。
 …前記のとおり本件違約金条項が当事者間の自由な意思に基づいて合意され、その内容に不合理な点がない以上、破産管財人においても、これに拘束されることはやむを得ないと解すべきであるから、本件違約金条項が破産法53条1項に基づく破産管財人の解除権を不当に制約し、違法無効であるとはいえない。」

(②に続く)

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