第12回判例勉強会
しばらくぶりの更新となります。
先週、当事務所内で行われた判例勉強会のご報告です。
今回のテーマは、「保証人が主たる債務者の破産手続開始前に、その委託を受けないで締結した保証契約に基づき、同手続開始後に弁済をした場合に保証人が取得する求償権を自働債権とする相殺の可否」というものでした。
最近の勉強会では、倒産関係の判例がよく取り上げられています。
「委託を受けないで締結した保証契約」というのは、司法試験の勉強の際にも出てくる概念ですが、当時は何のことやらさっぱり分からず、理解するのに苦労したものです。
「委託を受けないで保証契約を締結する者などいるのか?」という根本的なギモンが当然出てきますからね。皆さんは想像できますか?
実はこれ、大手金融機関などがビジネスとして行っている「保証ファクタリング」のようなものが想定されているのですね。
つまり、取引先に対する売掛金についての回収不能リスクを管理するため、大手金融機関に回収を代行してもらうのと同時に、保証をしてもらう(もちろん、手数料を支払う)というものです。
今回のテーマについては、近ごろ最高裁の判決があり、「相殺は認めない」という結論で決着したようです。
大手金融機関は、おそらく預金債権との相殺も見込んでビジネスを設計しているでしょうから、今回の最高裁判例によってビジネス設計の見直しを迫られるのではないでしょうか。
勉強会の際にも、もし金融機関の顧問弁護士が相殺を可能とする意見を述べていたら、顧問契約を解除されてしまうかもしれないね、などといった声が聞かれました。
これがいわゆる「予防法務」というやつです。
ビジネスの設計に当たってどのようなリーガルリスクがあるかどうか、可能な限り的確に分析しなければなりませんから、弁護士の責任は重大ですね。
もし間違った意見を述べれば、顧問先に巨額の損失を生じさせてしまうかもしれないのですから。
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