弁護士会の研修に行ってきました。
3月半ばからのバタバタにかまけてすっかりブログの更新を怠っておりました。
今日は、日弁連(日本弁護士連合会)で行われている弁護士向け研修に行ってきました。
といっても、岡山では東京で行われた研修のビデオが放映されるだけなんですが。
お題は「弁護士会照会の具体的な事例を通じた利用方法」です。
弁護士会照会というのは、弁護士法23条の2に根拠を持つ制度なのですが、弁護士(正確には弁護士会)に与えられた数少ない特殊な権限です。
簡単に言うと、「弁護士が、受任事件に関して、証拠を収集したり事実を調査するため、弁護士会を通じ、公共機関や民間団体などに対して、必要な事項の報告を求めることができる制度」です。
どのような場合に使うのかというと、例えば交通事故に基づく損害賠償請求などの場合で、事故態様に争いがあるとき、警察の作成した実況見分調書がどうしても必要になるのですが、不起訴となった事件の場合、原則として公開されることはありません。
しかし、この弁護士会照会という制度を利用すると、原則非公開の実況見分調書を閲覧することができるわけです。
もっとも、「弁護士の職務の公共性」を根拠として与えられている権限ですので、濫用すべきでないことは当然のことです。
ご相談者の中には、弁護士なら何かしらの「特権」を使って色々なことを調べられるのではないかと思っている方もいますが、決してそのようなことはありません。色々なことを調べたい方は、弁護士ではなく興信所を利用されるべきかと。
また、弁護士会照会に対しては原則として回答義務があるとされていますが、個人情報保護やプライバシーなどを盾に回答を拒絶されることも珍しくないのが現状です。
個人的には、弁護士会照会の運用をもっともっと実用的にしていくことで(弁護士会と関係機関との間での入念な調整を要すると思いますが)、よりよい紛争解決につなげていくことが重要であると考えています。弁護士会照会のよりよい運用のために尽力されている方々には、この場を借りて感謝を申し上げたいと思います。
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