岡弁(岡山県倉敷市の弁護士)ブログ

岡山県倉敷市で法律事務所を経営する弁護士(若手→中堅)が日々の雑感をつぶやきます。紛らわしいですが岡山弁護士会の公式ブログではありませんのでご了解ください(笑)

交通事故の赤青黄緑

弊事務所では交通事故案件の取扱いが多数あるので、交通事故関係の書籍には常にアンテナを張っています。
 
先日、法曹会から
 
簡易裁判所における交通事故損害賠償訴訟事件の審理・判決に関する研究
 
という本が出版されましたので、早速購入しました。


 
法曹会というのは、最高裁判所判例解説など司法界で権威ある書籍を出版している裁判所の天下り法人です。・・・といったら語弊があるかな(笑)
 
裁判官などが実務上の様々な問題について調査研究した結果をしばしば書籍化しており、実務上重要な書籍ばかりです。
 
 
ところで、この本の中に興味深い記述を見つけたので紹介します。
 
交通事故の損害賠償については、実務上「赤い本」と呼ばれる重要な本があります。
 
日弁連交通事故相談センター東京支部の編集による「民事交通事故訴訟・損害賠償算定基準」という本で、通常、「赤い本」と呼ばれています(「赤本」と略称されているのをたまに見かけますが、正式には「赤い本」です。よく見ると、表紙の右上に「赤い本」と明記されていますね。)。
 
東京地裁の基準とも言われていますが、事実上、全国どこでもこの本が一番権威ある書籍になっているように思われます。


 
興味深いと思ったのは、今回の法曹会の本で「赤い本」という略称が公式に採用されていることでした。
 
これまで、裁判所がこの本を公式に「赤い本」と呼んだことがあったんでしょうか?
 
もし今回のケースが初のケースだとすれば、実に画期的なことですね(笑)
 
 
交通事故関係の書籍ということでは、もう一つ「青本」というものが有名です。
 
こちらは、日弁連交通事故相談センターによる「交通事故損害額算定基準」という本です。
 
なぜ「青い本」でなくて「青本」なのかは不明ですが・・・。



今回の法曹会の本で、「青本」と略称しているところがないかチェックしてみたのですが、ざっと見た感じでは発見できませんでした。残念。
 
 
その一方で、実に興味深いことが!!
 
交通事故の過失割合については、一般的に「別冊判例タイムズ 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」に基づくというのが実務上定着した取扱いになっています。
 

 
こちらの本、実務家の間では今まで「別冊判タ」(割と長期間「別冊判タ16号」だったのが、比較的最近改訂されて「別冊判タ38号」になりました)と呼ばれることが多かったように思います。
 
しかし、なんと今回の法曹会の本では、「緑の本」と略称されているじゃあ~りませんか。
 
あんまり耳なじみの無い呼び方だったのですが、これって一般的なんですか?
 
気になってググってみたところ、これまで「緑本」と言えば、大阪弁護士会交通事故委員会が発行している「交通事故損害賠償額算定のしおり」のことを意味していたようです(事務所に在庫がなかったので、写真は無し)。
 
裁判所が公式に「緑の本」と略称してしまいましたので、今後「緑の本」と言えば公式に別冊判タのことを意味するということで、大阪弁護士会交通事故委員会の本は、「緑本」の地位を奪われてしまったということになるんでしょうか(笑)
 
ちなみに、大阪の場合、大阪地裁民事交通訴訟研究会による「大阪地裁における交通損害賠償の算定基準」という本も出版されています。
 


執筆者は大阪地裁の裁判官ですので、大阪地裁では権威があるものと思われます。


名古屋には、日弁連交通事故相談センター愛知県支部による「交通事故損害賠償額算定基準」という基準があるようです。


 
見たまんま、「黄色い本」とか「黄色本」などと呼ばれているみたいですね。名古屋地裁では権威ある書籍なんでしょうか。
 
 
というわけで、交通事故の損害賠償基準の本はカラフルですね~というお話。
 
 

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