武貞秀士「東アジア動乱 地政学が明かす日本の役割」を読みました。
東アジア動乱 地政学が明かす日本の役割 (oneテーマ21)/KADOKAWA/角川学芸出版
現下の東アジア情勢についてお勉強。
ランドパワーとシーパワーの観点から東アジア情勢を読み解く本です。
冒頭に富山県が発行している「逆さ地図」(通常の東アジア地図をぐるっと左に120度ほど回転させたような地図)が紹介されており、ユーラシア大陸から見ると、いかに日本列島が大陸諸国に「フタ」をしているような格好になっているかよく分かります。
海洋への進出を望む大陸諸国にとっては、正に「目の上のたんこぶ」といった感じです。
ランドパワーとシーパワーという観点から国際関係を分析すると、一見脈絡が無いようにも思える各国の外交政策が、どのような意図に基づくものであるか一本筋の通った理解が可能になるのだと思いました。
特に北朝鮮とモンゴルに関する記述については、あまり馴染みのない部分であり、勉強になります。
著者は自身の見解を「少数意見」と断っていますが、北朝鮮の内実は日本のメディアが報じているものとかなり違うのではないかという印象を受けました。
また、一般的には国際社会の緊張を高める要素として理解されがちな地政学的考察が、時として緊張を緩和する方向に働くのではないかという著者の指摘はもっともだと思います。
つまり、緊張が高まっているように見える国家間においても、地政学的に協力関係を築くべきという判断の下、緊張が緩和する場合があるということです。
何度も読み返すような本ではないかもしれませんが、これから日本が進むべき道を考えるための参考書として読んでおいても決して損はない一冊です。
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