「世界史で学べ!地政学」を読みました。
世界史で学べ! 地政学/祥伝社
世間では安全保障論議が喧(かまびす)しい昨今ですが、国際関係についての知識もなく安全保障を語ることは無責任と言わざるを得ないでしょう。
ということで、地政学的なものの見方を勉強してみようと思い、こちらの本を手に取りました。
と言っても、こちらは地政学そのものについて正面から論じた本ではありません。
正確に言うと、「世界史」と「地政学」の観点から国際関係を概観してみよう、という内容の本です。
もっとも、「世界史」と「地政学」とは切っても切れない関係にある(世界史上の事象を分析することがそのまま地政学的な検討につながる)ので、そのようなまとめ方も正確性を欠くかもしれません。
「地政学」という学問分野については、あまり耳馴染みのない方もいらっしゃると思います。
簡単に言うと、国家の置かれている「地理」的条件が「政治」へどのように影響するかを分析する学問と言えば分かり易いでしょうか。
ナチスドイツや戦前の日本において、帝国主義的な政策を理論的に基礎づけるものとして用いられたという歴史的経緯、あるいは学問それ自体の帝国主義との親和性から、戦後は一貫して冷や飯を食わされ続けてきた学問分野でもあります。
もしかしたら、現代においてもイデオロギー的な拒否反応を持つ人がいるかもしれません。
「えせ科学」などと揶揄され、学問としての正当性は確立されていないと見る向きもあるようです。
しかし、現実主義的な国際関係観を感得するために、地政学的なものの見方が非常に有効であることは間違いありません。
地政学は、国際的な安全保障の枠組みを考える上で、どうしても避けて通ることのできないものなのです。
もっとも、安全保障という問題が、単に地政学的な検討だけで結論を導くことのできるような単純な性質の問題でないことは言うまでもありません。
地政学的リスクを強調して短絡的に結論を導くような議論は危険であると思います。
ということで、本日の一冊。
良くも悪くも予備校の先生が書いた本だなあとは思いますが、現在の国際関係を見る上で知っておくべき知識がコンパクトにまとめられています。
類書が多い中東問題とかウクライナ問題だけでなく、東南アジアやアフリカなどの国際関係についても触れられているところが良いです。
が、いかんせん紙面が足りない!
「痒いところに手が届いていない」感は否定できません。
それと、著者の個人的見解に渡る部分は蛇足かなあと思いました。
オススメかオススメじゃないかと言われれば、オススメです。
ただ、地政学の前に世界地理の基本的知識を学習する必要を感じてしまいました。
ナントカ山脈とかナントカ川と言われて、すぐに世界地図が頭に浮かぶようでないとダメです。
大学受験してない私のような人間は、基本的な教養が足りなくて大変なのです。
やっぱりしておくべきだったなあ、大学受験。
とか言ってみたいお年頃。。
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