第16回判例勉強会①~破産申立代理人の財産散逸防止義務
先週の金曜日は事務所主催の判例勉強会でした。
今回取り上げられた判例は二つ。
一つ目は、
東京地裁平成25年2月6日判決。
破産申立てを受任した弁護士の財産散逸防止義務が問題となった事例です。
破産申立てをしようと考えている方の中には、(当然と言えば当然ですが)できるだけ多くの財産を手元に残したいと考えている方も少なくありません。
弁護士としては法的に可能な範囲と不可能な範囲をきっちり説明し、法的に不可能なものについては、きっぱりと制止しなければならないのは当然のことです。
法の抜け穴を教えるのが弁護士の仕事ではありません。
無茶を言われる方は最初からお断りするようにはしていますが、中には弁護士のあずかり知らぬところで無茶をしようとする方も(まれではありますが)いますので、倒産業務に関わる弁護士としては、この種の判例には敏感にならざるを得ません。
依頼者が無茶したことで責任を問われてはたまりませんので、あらためて何らかの対策をしなければとは思っています。
ところで、この判例の恐ろしいところは、破産申立ての「受任後」だけでなく、「正式な委任契約締結前」においても、依頼者と弁護士の関係が「特殊な信頼関係に立つ」として善管注意義務に基づく責任を認めてしまったところです。
たしかに、「依頼者との関係」では、「正式な委任契約締結前」であっても法律専門家としての責任が生じうると言えるでしょうが、「破産管財人という第三者に対する関係」でそのような責任を認めるのは、法的にどうなんでしょうかね。。
本事例は、法人の破産申立てのみ先行して受任し、後から代表者の破産申立ても受任したという事案ですので、特殊な事例かもしれません。
(②へ続く)
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