年末年始の読書記録
皆様、今さらですが明けましておめでとうございます。
いい加減更新しないとーと思い続けながら、今年はじめてのブログ更新。
普通なら今年の抱負などを述べるところですが、ひとまず忘れないうちに年末年始の読書記録を残しておきたいと思います。
もっと色々と読みたかったのに、意外と読めなかったな…。
●矢部宏治著 「知ってはいけない 隠された日本支配の構造」
世間ではこの国が「対米従属」だとよく言われているけど、この本を読むまで「対米従属」ということの本当の意味が分かっていなかったのだと自覚した。
砂川事件のときにアメリカから最高裁に圧力がかかっていたことくらいは知っていたけど、「日米合同委員会」とか「横田空域」とかの話はよく知らなかった。
他国の軍隊が自由に活動できるって、あらためて考えると結構凄いことだよな…。
必読。
●薮中三十二&佐藤優共著 「核と戦争のリスク 北朝鮮・アメリカ・日本・中国 動乱の世界情勢を読む」
外務省当局者が実際のところどのようなことを考えながら外交交渉に当たっているかは全くのブラックボックスなので、薮中氏の経験談はとても参考になります。
●手嶋龍一&佐藤優共著 「独裁の宴 世界の歪みを読み解く」
こちらは元NHKワシントン支局長の手嶋氏と佐藤氏の対談本。
お二人のコンビの対談本は複数出版されているがどれも読んで損はない。
その理由は、手嶋氏がアメリカの事情に精通しており、反対に佐藤氏はロシアの事情に精通しているということで、両方の視点から国際情勢を見ることができる点にあると思う。
●川端裕人著 「我々はなぜ我々だけなのか」
最近特に興味を持っている分野の一つが人類学。
とりわけホモ・サピエンス以前の歴史が面白い。
地球上で繁殖しているホモ・サピエンスについては、アフリカ単一起源説(アフリカで進化したホモ・サピエンスが全世界に散らばったという説)が今日では定説となっていますが、実はホモ・サピエンスが誕生するよりずっと前に「出アフリカ」を果たした人類が世界の各地でそれぞれ独自の進化を遂げていた(ホモ・サピエンスとは繋がらない)という話。
(なお、ホモ・サピエンス以前の人類が「出アフリカ」を果たし、世界各地でホモ・サピエンスまで進化したと考える説が多地域進化説)
ホモ・サピエンス以外の人類が誕生しては絶滅し、時期によっては共存して交配し(ゲノム解析の結果、ホモ・サピエンスとネアンデルタール人が部分的交配をしていたということが最近分かったそうです)、最終的にホモサピエンスだけが生き残ったっていうことを考えるだけでワクワクすること間違いなし。
超オススメ。
●斎藤成也著 「核DNA解析でたどる 日本人の源流」
ゲノム解析から日本人がどこから来たのかに迫る。
アフリカ単一起源説が定説となっていることは上のところで言及したとおりだが、それではホモ・サピエンスはアフリカから日本列島までどのようにしてたどり着いたのか。
テレビなどで日本人が「縄文人系」「弥生人系」に分かれるということを聞いたことがある人は多いと思うが、これはこれまでの定説である「二重構造モデル」(まず南方系の「縄文人」が列島全体に住み着き、その後北東アジア系の「弥生人」が渡来してきて混血したというモデル)に拠っている。
(その結果、弥生人との混血が比較的少ないオキナワ人とアイヌ人に縄文人的な特徴が多く残されたということになる)
著者は、日本人のゲノム解析の結果、東北人と出雲人のDNAが似ていることに気付き、この現象を説明するために「二重構造モデル」をさらに発展させる形で「三段階渡来説」を唱えるに至った。
簡単に言うと、「二重構造モデル」における弥生人の渡来は実は二段階に分かれているのではないか、というものだ。
少し専門的な話も出てくるが、十分読めると思う。
●島田雅彦著 「深読み日本文学」
ありがちと言えばありがちな日本文学案内の本だが、作家ならではの視点が面白い。
あらためて源氏物語が読みたくなった。
オススメ。