ハイティンクの円熟
ベルナルト・ハイティンクは、現代を代表するマエストロの一人ですが、先日ベルリン・フィルの公式チャンネルで公開されたハイティンクの最新ライヴ映像(ダイジェスト)を観て驚きました。
Mahler: Symphony No. 9 / Haitink · Berliner Philharmoniker
もともとハイティンクという指揮者のことは好きでも嫌いでもなく、「たまにセンスの良いところを感じさせてくれる堅実な指揮者」くらいの認識しかありませんでした。
御年88歳ということですので、今後どれだけ長生きしようと「晩年」と言ってもいいお年頃だとは思いますが、このライヴ映像を観て、一部の長生きマエストロたちが最晩年に到達することのある「境地」に達したのだと感じました。
一言で表現するのは難しいのですが、静かで、無駄な力みが無く、演者ではなく音楽自身が語り始めるような、非作為的演奏とでも言えばよいでしょうか。
多くの演奏家が言っていることだと思いますが、最高の演奏というのは、「演者の存在を忘れてしまうような、音楽の持っている魅力をそのまま伝える演奏」であると思います。
(もちろん、演者の個性に注目するような音楽の楽しみ方を否定するものではありません)
このマーラーの交響曲第9番からは、演者の存在よりも先に音楽の存在を感じます。
デジタル・コンサートホールの契約をすれば、ダイジェストではなく全曲を聴くことができるのですが(これを機に契約しちゃおうかな…)。
とにかく、今後のハイティンクから目が離せなくなりました。