全岡山市民必読! 藤井聡「クルマを捨ててこそ地方は甦る」を読みました。
最近読んでとても興味深かった本。
経済書なのに最初から最後まで共感しきりという珍しい本だった。
クルマを捨ててこそ地方を甦る
を紹介し、強く推薦したい。
岡山市が真に魅力ある都市へと発展していくためにどうしても必要な施策は、「脱クルマ依存」であると思う。
この本の中では、クルマ依存の弊害、クルマ依存がいかに地方都市を疲弊させているのか、という点が、これでもかこれでもかというほど具体的なデータを基に論証されており、岡山市のことを念頭に置きながら読んでみると、控え目に言って共感しかない。
また、クルマ依存からの脱却に取り組んで目覚ましい成果のあった具体的な事例として、富山市と京都市の取り組みが紹介されているが、例えば、富山市の例では、路面電車のLRT化によって、街の中心部やLRT沿線が活性化したことが紹介されている。
(もちろん北陸新幹線の開通による相乗効果もあったとは思われる)
富山市では、路面電車のLRT化のために必要な投資のうち、80%以上を既存のインフラ(もともとの路面電車の軌道)の利用で賄ったそうだ。
当たり前のことだが、一から路面電車を作るのは大変でも、既存のインフラを利用すれば大幅に投資額を少なくすることができる。
ここ岡山市では伝統ある路面電車が今でも走っているので、都市活性化にこれを利用しない手はないだろう。
岡山では吉備線のLRT化ということばかり話題に上っているようだが、全く話の順序が逆である(岡山駅への乗り入れに関しては共通課題と言えるが)。
もちろん、それはそれで進めていただくのが望ましいとは思うが、まずは既存の路面電車(岡山電気軌道)について路線の拡張を含めいかに利便性を高めていくかというのが優先課題であろう。
岡山市の活性化のカギを握っているのは、路面電車沿線の活性化ではないだろうか。
ここに言う「路面電車沿線」には、もちろん新たに開通させるべき路線も含まれる。
岡山駅ですぐに乗り換えできないような路面電車ではいけないし、市役所にも県庁にも岡山城にも後楽園にも行けない路面電車のままでいいはずがない。
岡山の地元の人と話をしていると、完全に「クルマ」中心の思考がプリセットされていると感じることがある。
しかし、こういった思考がいかに岡山をダメにしているかということについては、ほとんどの人が無自覚であるようだ。
日本国内の全都道府県市町村の中で、最もこの本の趣旨に適合している自治体は岡山市であると確信した。
表題に「全岡山市民必読」と書いた意味はこの本を読めば必ず分かるし、読んだ人全員ではないにしても、多くの岡山市民が共感してくれることを望む。