いとうせいこう×奥泉光「漱石漫談」を読みました。
今年は生誕150年ということで、様々な漱石関連書籍が出版されています(ちなみに、昨年は没後100年だったため、昨年からちょっとした漱石ブームとなっています)。
その中でも、ワタクシの一押しは、こちらの「漱石漫談」。
もともとお二人の「文芸漫談」のファンなので、さっそく購入して読んでみました。
相変わらず面白かった。
取り上げられている小説は、
こころ、坊っちゃん、吾輩は猫である、三四郎、草枕、行人、門、坑夫
です。
実際に聴衆の前で行われた漫談を収録したものだと思いますが、独特の視点で小説を読み解いていて「こういう楽しみ方もあるんだな」といつも感心します。
とにかく、小説を自由に楽しもうという雰囲気が伝わってきて、未読の小説は「面白そう」と思ってしまいますし、読んだことのある小説についても「あらためて読んでみようかな」という気になります。
一つ面白いなと思ったのは、「反物語論」的な言及です。
乱暴な言い方をすると、「小説は最初から最後まで読む必要なんてない」、「その日たまたま開いたページを読めばいい」みたいな話。
これを音楽に応用できないかな、というのがワタクシの着想でして、「長~い交響曲だって最初から最後まで聴き通す必要なんてない!」とは言えないでしょうか。
実際のところ、私自身、普段の生活の中で最初から最後まで一つの楽曲を真面目に聴き通すことはほとんどありません。
その日の気分に合わせて、好きな曲の好きな部分だけ聴きます(多くの音楽ファンが同じような聴き方をしてるんじゃないかと勝手に予想してます)。
「そんな楽しみ方は邪道だ!」、「作曲家に対する冒涜だ!」みたいな話は当然出てくるでしょうが、「別にそんな堅苦しく考えなくてもいいじゃん」、「自由に楽しもうぜ!」というのが私見。
このブログでも、そういう観点から好きな曲の好きな部分だけ紹介するという取組をしてみようかな。
ただ、音楽なので、極私的かつ感覚的な部分を誰でも分かるように文章化するのは結構難しい。。。
気が向いたらそのうちやってみますね