渡邊大門「戦国誕生」を読みました。
渡邊大門氏の「戦国誕生 中世日本が終焉するとき」を読みました。
本書は結論として「戦国誕生」の時期を15世紀半ばに設定し、応仁・文明の乱前後の状況について概説している。
この時期の状況を一般向けに概説した本は(通史的なものを除いて)意外と少ないのではないだろうか。
まえがきにあるとおり、本書のテーマは一貫している。
天皇・将軍・守護のそれぞれについて、
形式→実体
権威→権力
という変化があり、中世が解体したというものだ。
簡単に言うと、それまで政治を動かしてきた形式や権威がほとんど意味を持たなくなり、実体を伴った権力が社会を動かすようになる、ということである。
上記の変化は、まさに実力主義の時代、戦国時代の到来を意味する。
今年は応仁の乱勃発から550年ということで、続々と応仁の乱関連の書籍が出版され、中公新書がベストセラー(インターネット情報だと30万部!)になったりしている。
しかし、中公新書の方は、いきなり初学者が読むにはハードルが高すぎると思うので、あまり知識のない方には、むしろこちらの講談社現代新書をオススメしたい。
中公新書の方が「興福寺別当から見た応仁の乱」というマニアックなテーマを扱っているのと比べ、こちらは比較的オーソドックスな内容。
天皇の状況にまで目配りがなされている点も良い。
応仁・文明の乱前後の時期についての一般向け書物として安心してオススメできる一冊である。