フルトヴェングラーのブルックナー
Bruckner: Symphonies 4,5,6,7,8 and 9/Music & Arts
長年、フルトヴェングラーの残したブルックナーの演奏に疑問を持ってきました。
世上よく言われているように、クライマックス部分に向けたアッチェレランドなど、緩急の激しいテンポ設定に全く共感が持てず、この指揮者はなんでそんなに興奮しちゃってるんだろう、などと思っていました。
一般的にも、ベートーヴェンやブラームスの演奏に比べて、ブルックナーの演奏は評価が低いようです。
生涯に渡ってブルックナーに私淑し(実はデビューの際に指揮したのがブルックナーのシンフォニー9番)、ドイツ・ブルックナー協会の総裁まで務めた大指揮者が、なぜあのような不自然なテンポ設定をしていたのか、ずっと理解できないでいました。
ところが、割と最近、何の気なしにフルトヴェングラーのブルックナーを聴いていたとき、テンポ設定のナゾが解けてしまったのです。
ただし、同じことを言っている人を見たことがないので、私の妄想かもしれません。
悪しからず。
実に単純な話なのですが、ものすごいアッチェレランドと感じたり、テンポが速すぎるんじゃないかと感じられる部分について、フルトヴェングラーは拍節を2倍と捉えていたのだと思います。
例えば、ものすごいアッチェレランドが行われているように思われる部分では、四分音符一つで1拍と感じる拍節感から、四分音符二つで1拍と感じる拍節感への移行が行われているものと考えられます。
現代においては、アーノンクールを始め、ノリントンなどの古楽系出身指揮者のみならず、クラウディオ・アッバードなどのスター指揮者によっても、この拍節感の見直しが進められてきました。
例えば、8分の6拍子について、かつてはそのまま6拍と感じられていたものを、八分音符三つずつの2拍と捉え直すといったようなことです。
実は、フルトヴェングラーがブルックナーの演奏でやっていたことは、同じようなことではないかと思うのです。
実際、このような視点でフルトヴェングラーのブルックナーをあらためて聴き直してみると、あら不思議。
実にゆったりとした合理的なテンポ設定となります。
皆さんも、試してみてくださいね。
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