ラトル&ベルリン・フィルのベートーヴェン交響曲全集
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ラトル&ベルリン・フィルによるベートーヴェンの交響曲全集がようやく手元に届きました。
まだ全部を聴き終えたわけではありませんが、一部を聴いただけでとてつもない名盤だと確信しました。
録音状態も良いためか、情報量が非常に多く、息をつく暇もありません。
今後、数十年に渡ってスタンダードとして君臨し続けるでしょう。
ラトルには、ウィーン・フィルとの旧盤もありますが、ベルリン・フィルの任期が終盤に差し掛かったところで、正に「満を持して」リリースしたのだなと強く感じました。
長年に渡るsteadyな関係の中で培われたの強固な信頼関係なくして、このような演奏は不可能なのだと思います。
ウィーン・フィルとの旧盤も大変な名盤と思っていましたが、それが霞んでしまうほどの完成度です。
月並みな表現になってしまいますが、このベルリン・フィルとの新盤に比べると、旧盤には良い意味でも悪い意味でも「若さ」が感じられます。
旧盤では、フレッシュな解釈に新鮮さを感じながらも、それと同時に実験的な響きをも感じ取れてしまう部分があったのですが、新盤では、同じようなフレッシュさが維持されながら、それでいてartificialな印象を受けることが全くありません。
やすりで磨き上げたような角の取れた表現に洗練されています。
ラトルがベルリン・フィルに就任した当初は、アバド時代とは打って変わって、響きが強くコントロールされているという印象を受けました。
悪く言えば、音楽のスケールが小さくなってしまったというか、ベルリン・フィルというスーパーオーケストラが大きな図体を鎖に縛られ、もがいているような印象があったのです。
もともとアバド時代のフリーダムとコントロールとの絶妙なバランスが好みであった私にとって、これは大きなマイナスポイントとなっていたのでした。
しかし、このベートーヴェン交響曲全集からは、そのような印象を全く感じません。
完全にコントロールされていながら、人為を全く感じさせない、オーケストラ演奏にとって理想的な調和状態。
これは世界最高の指揮者と世界最高のオーケストラとの間に築かれた深い信頼関係の賜物だと思います。
音楽好きなら買って絶対に損しません。
自信を持ってオススメします。
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