オリエント急行殺人事件
年明けにアガサ・クリスティーの「オリエント急行殺人事件」を読みました。
オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)/早川書房
普段はあまりミステリー小説を読まない(読んでもせいぜい東野圭吾とか宮部みゆきくらい)のですが、年始に三谷幸喜脚本の同名ドラマが再放送されていたので、原作を読んでみました。
といっても、三谷版ドラマの方は、舞台設定を1933年(原作の執筆当時)の日本に置き換えたものです。
オリエント急行殺人事件 ブルーレイBOX [Blu-ray]/ポニーキャニオン
ネタバレをしないため、内容には立ち入りません。
個人的には、原作の舞台設定と登場人物の国籍がいかにも原作執筆当時の時代状況を反映しているようで興味深かったです。
例えば、私の記憶によると、物語はシリアのアレッポ駅におけるフランス人将校と誰か(失念)の会話から始まります。
ご承知のとおり、現在シリアは世界最大の紛争地域といっても過言ではないわけですが、当時、シリアはフランス領だったわけです。
他にも、物語には、バグダッドからやってきたイギリス人の家庭教師やインドからやってきたイギリス人の大佐などが登場します。
言うまでもなく、当時イラクはイギリス領でしたし、インドもまた同様。
他にもサイクス・ピコ協定以後の国際情勢をうかがえるような記述が色々見られて面白いです。
現在だったら、貴人たちがイラクからシリアを経由してイスタンブールまで列車で旅行するなんて夢物語でしょう。
ところで、三谷版のドラマがこれまた傑作です。
よくもまあ舞台設定をそのまま日本に移し替えて、これほど原作に忠実なアレンジが可能だったなと思いました。
おそらく三谷幸喜さんも長年に渡って構想を温めてきたものと思います。
さらに三谷版を傑作足らしめているのは、前編で原作に忠実なドラマを再現した後、後編において原作では解明されていない「謎」の解釈を示したところにあります。
原作を読まれた方は、ぜひ三谷版ドラマもご覧下さい。
面白いです。
読書日記 ブログランキングへ
にほんブログ村
岡山の弁護士 にしがわ綜合法律事務所の公式ウェブサイトはこちら