ブルガリア国立歌劇場岡山公演「トゥーランドット」を観てきました。
久しぶりの芸術鑑賞。
ブルガリア国立歌劇場による「トゥーランドット」を観に行った。
意外にも(と言うとかなり失礼なのだが、あまりにチケットが安いので少し不安だった)、とても良かった。
特に感心したのは、オーケストラの巧さである。
さすが、本場ヨーロッパのオペラハウスの常設オーケストラだなと思った。
もちろん、オペラハウスの予算や規模の問題から、有名オペラハウスの様な重厚で豪華なサウンドは望むべくもない(なおかつ、ところどころヒヤヒヤするところもある)のだが、間違いなく「プロのサウンド」であったと思う。
(このような、本当の意味でプロフェッショナルなオーケストラのサウンドを岡山で聴くことのできる機会は、年に何度も無い)
また、オペラの伴奏の場合、音量のバランスやテンポの緩急などについても独特の味付けが必要になるのだが、このオーケストラは何の気なしに弾いているように見えて、ちゃんと「分かっている」のである。
目を瞑っていても弾けるほど、あるいは、脊髄反射のように体が反応してしまうほどオペラに親しんでいないと、あのように自然な音楽の流れを紡ぎだすことは不可能だろう。
そして、何とかフィルの棒読み音楽とは違って、歌うべきところには、ちゃんと「歌」があるのだ。
全体として、
コスパ高っ!!!
な公演であった。
何しろ、セミステージ形式(舞台装置を簡略化した形式)とはいえ、最上級カテゴリー(S席)でも1万2000円という、海外のオペラハウスの出張公演としては考えられないレベルの格安料金設定なのである。
トゥーランドットというオペラはつくづく残念なオペラだ。
作曲者のプッチーニは、第3幕の途中まで(有名なリューの死の場面まで)を書いたところで惜しくも亡くなり、その先を弟子が補筆しているのだが、それまでの部分と比べてあからさまに質が落ち、退屈で、無駄に派手派手しくて、陳腐になってしまっている感が否めないのである。
最後の大円団は、何度見てもそのバカっぽさに苦笑間違いなしの迷場面といって差支えあるまい。
それまでの音楽が素晴らしいだけに、残念なことこの上ない。
ところで、岡山市は、ブルガリア共和国第2の都市であるプロヴディフ市とは姉妹都市の関係にあるらしい。
そういった縁で、ブルガリア国立歌劇場が来日するたびに岡山まで出張してくれるのかもしれない。
(数年に一度の来日の機会には、必ず岡山で公演が行われているようだ)
次回、岡山で公演があるなら、必ず観に行こうと思っている。
それにしても驚いたのは、岡山公演での客席の埋まらなさである。
人の入りは、1階席が4割程度、2階席は8~9割程度、3階席はよく見えなかったけどおそらく5割程度、全体でいうと5~6割というところか。
一方で、東京文化会館での初日公演はチケット完売、5階席までほぼ満席だった模様。
岡山には一夜の非日常的な快楽にお金を使おう(といっても、相場からすると格安!)という文化的な心を持った人が少ないのかも(と、少しオブラートに包んで言ってみたくもなる)。
でも、それは飲食店に行っても思うこと。
ちょっとだけ背伸びをして良いモノを食べたり、芸術に触れてみようという気が無いんだろう。
ホント、びっくりポンや。
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