大河ドラマの低視聴率
皆さんご承知のとおり、今年の大河ドラマは「花燃ゆ」。
主人公は、吉田松陰の妹である。
何度も報道されているとおり、視聴率低下に歯止めがかからないという状況のようであり、長年の大河ドラマファンとしては、このような状況は悲しくもあり、情けなくもある。
しかし!!!
今年に限って言えば、「さもありなん」と言わざるを得まい。
その理由は、一に脚本、二に脚本、三・四が無くて五に題材である。
たしかに、吉田松陰の妹というマイナーな人物(失礼!)を主人公にするという選択には、色々な「大人の事情」が絡んでいるように思われる。
例えば、ここ最近の大河ドラマにおいては、2~3年に一度は女性を主人公かそれに準ずる立場で描かなくてはならないという縛りがあるように思う。
そもそもその前提に無理があるだろう。
1年間のドラマ映像化に耐え得るほど、その言行に関する史料の残っている歴史上の女性がそれほど多く存在するとは思えない。
しかし、そのような題材選択上の足枷は些細なものでしかない。
少なくとも、吉田松陰の妹ということであれば、脚本次第でいかようにも挽回可能だ。
問題は、脚本である。
今年の大河ドラマをご覧になったことのある方であればご同意いただけるものと信ずるが、1年間かけて歴史ある大河ドラマの枠を使い、あのような退屈なホームドラマをチンタラ放映する意義が全く分からない。
百歩譲って、ホームドラマは良しとしよう。
しかし、道徳の教科書にも書けないような陳腐なホームドラマを毎週毎週見せられるのは苦痛以外の何物でもない。
人物造形が極めて貧弱で、そもそも吉田松陰の人物像が曖昧だし、彼が何に命を懸けたのかも全く分からない。
脚本家にとっては、尊王攘夷もへったくれもないようだ。
この脚本家がどの程度歴史を勉強した上で台本を書いているか知る由もないけれど、「尊王攘夷」の歴史的意義を真面目に描くつもりがないのであれば、幕末の長州藩を描こうなどという暴挙は遠慮されるべきであろう。
吉田松陰を描くのであれば、少なくとも、みなもと太郎先生の「風雲児たち 幕末編」くらいは熟読した上で台本を書いてもらいたいものである。
だいたい、NHK側が設定している「幕末男子の育て方」というサブテーマが気色悪いし、視聴者を舐めているとしか思えない。
心底、俳優陣が可哀想である。
大河ドラマは最早瀕死の状態にある。
私などは、一応、毎週ビデオ録画はしているが、全く見る気が起きず、ハードディスクの残が心もとなくなってきたときに「倍速」で見ている。
そこまでするなら見なければいいというのは卓見であろうが、大河ドラマファンであるからこそ、その「死に様」を見つめなければならないのである。
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