岡弁(岡山県倉敷市の弁護士)ブログ

岡山県倉敷市で法律事務所を経営する弁護士(若手→中堅)が日々の雑感をつぶやきます。紛らわしいですが岡山弁護士会の公式ブログではありませんのでご了解ください(笑)

「八重の桜」オープニングテーマについて。

本日の記事については、実は昨年末に草案を書き上げていたのですが、今さら放置されていた原稿を完成させました。

「八重の桜」のオープニングテーマについての評論です。


***************************************

私は、大河ドラマのオープニングテーマ評論家(自称)なので、今年中に「八重の桜」のオープニングテーマについても書いておきたいと思います。

作曲は、かの有名な坂本龍一

曲は起承転結の4部構成と考えてよいと思います。


(起)

曲は、まず幕末の会津藩を象徴するような苦悩に満ちたストリングスによる導入で開始されます。

当ブログでは何度も言及しているとおり、私は会津藩士の末裔であるため、冒頭15秒を聴いただけで、毎回胸が締め付けられるような思いがしています。

主調は、h-moll(ロ短調)。

h-mollの名曲と言えば、J.S.バッハロ短調ミサ、シューベルトの「未完成」、チャイコフスキーの「悲愴」などなど…

このように、h-mollには、深遠さを伴う暗さ、悲愴感といったイメージがつきまといますね。

この導入部分数小節を聴いただけで、一瞬で(これ大事)、視聴者は否応無く「八重の桜」というドラマの世界へ惹き込まれていきます。


(承)

一段落すると、嵐の前の静けさのように、とても音が少なく、簡素で落ち着いた曲調となります。

しかしながら、前半部分の和声は不安定なものとなっており、決して安穏ではありません。

弦のトレモロによる伴奏が、効果的に不安感を助長しています。

後半部分は、荒れ狂う時勢の嵐に巻き込まれながらも、「明鏡止水」の境地で、従容と義のために殉じた会津藩を象徴しているように感じます。


(転)

そして、軍靴の高鳴りを示すようなスネアドラムと共に導入部分のテーマが再現され、やがて破滅へと突き進んでいきます。

この部分後半のクロマティックなゼクエンツ(半音階的な反復進行)は、この曲の聴きどころの一つ。

「破滅」部分のコードには、「C♯11」が使われていますが、これは主調であるh-mollのドッペルドミナント属調の属和音)のイレブンスという、極めて高度の緊張感を伴うコードとなっています。


(結)

そして「破滅」を迎えた後は、桜をイメージさせる映像とともに、永い冬の後に訪れるであろうかすかな春の暖かさを象徴するように、ピアノとクラリネットのデュエットがわずかに挿入され、曲は終結します。

この長さ(短さ)が絶妙ですね。センスの良さを感じさせます(思いっきり上から目線)。

この部分、(承)の部分前半と同じ音型となっていますが、h-moll(ロ短調)からH-dur(ロ長調)への変化が、幕末から明治の代への世情の変化を象徴しているように思えます。

そして、「戦(いくさ)」の前後で変化した空気や心境の変化が表現されているようにも。


分かり易く、とても良い曲ですね。

さすが、世界のサカモト。



音楽 ブログランキングへ

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村

岡山の弁護士 にしがわ綜合法律事務所の公式ウェブサイトはこちら