スペイン代表の落日~W杯観戦録
いつかこの日が来るとはわかっていても、すぐには受け入れられない。
そんな気持ちにさせられる試合でした。
ワールドカップ予選リーグ、スペインvsチリ。
そこに、かつて名実ともに「無敵」を誇ったスペインの姿はありません。
オフェンスもディフェンスも全く本来のそれではなく、ピッチ上でもがき続ける選手たちの姿を見せつけられ、一つの時代の終わりをまざまざと見せつけられたのでした。
まず言いたいことは、なぜあのスタメンにしたのか、ということ。
ジエゴ・コスタのプレースタイルが本来スペインの目指すべきサッカーの型にマッチしているとは到底思えません。
攻撃面でスペインの持ち味である狭いスペースでのパス交換に参加するようなタイプの選手ではありませんし、(迫力ある攻撃の前提となる)攻→守のトランジッションの際の素早いハイプレスに参加するようなタイプの選手でもありません。
彼が今シーズンのアトレティコで素晴らしい仕事を成し遂げたことに疑いの余地はありませんが、スペイン代表ではむしろスーパーサブ的に使われるべき選手でしょう。
全く仕事ができないままピッチを去らざるを得なかったジエゴ・コスタの背中には憐みさえ禁じ得ませんでした。
前半の早い段階で、ビジャなりセスクなりに交代させるべきだったと思います。
そして、ブスケツ、シャビ・アロンソのドブレ・ピボーテは良いとしても、トップ下にイニエスタはないでしょう。
イニエスタのサポート役となる攻撃の軸を2列目に入れないと、イニエスタが2列目から出て行ったときに相手のバイタルが空く形になってしまうため、攻撃がどうしても迫力不足になってしまいます。
バルセロナではシャビがこの役割を果たしており、イニエスタとシャビが組むことによって攻撃力が3倍にも4倍にもなります。
後半からコケを入れたことにより、だいぶこの点は修正されましたが。
このように、今回のメンバーでスペインらしいパスサッカーに支障があることは、もちろんデル・ボスケほどの監督であれば分かっていたでしょうから、狙いは細かいパスワークを基本とするスペインらしいサッカーから脱却し、縦に早い攻撃、ジエゴ・コスタの強さ・高さを生かした攻撃で確実に勝ちを取りに行くといったところにあったものと思われます。
たしかに、スペインがこれまでやってきたパスサッカーの場合、固く守られるとスコアレスドローという(前の試合で完敗を喫しているスペインにとっては)許されざる結果を招くおそれがありました(チリは前の試合で勝っており、スペインとは引き分けでも良いという感覚だったと思われますので、そのような試合展開になるおそれは十分に考えられました)。
しかし、ワールドカップのような大舞台で慣れないことはするもんじゃありません。
結果、本来の良さが全く出せないままグループリーグ敗退が決まってしまいました。
でもまだ1試合残っています。
もう一度原点に戻って、ここ数年世界を席巻してきた比類なきパスサッカーを披露して下さい。
お願いします。
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