岡弁(岡山県倉敷市の弁護士)ブログ

岡山県倉敷市で法律事務所を経営する弁護士(若手→中堅)が日々の雑感をつぶやきます。紛らわしいですが岡山弁護士会の公式ブログではありませんのでご了解ください(笑)

樋口晴彦「本能寺の変―光秀の野望と勝算」再読。

本能寺の変―光秀の野望と勝算 (学研新書)/樋口 晴彦


ここのところ「本能寺の変」関連の本を立て続けに読んでいます。

この本を読むのは2回目ですが、今まで読んだ本能寺の変関連本の中で、一番心にストンと落ちたといいますか、説得力を感じた本です。

歴史小説などの影響によって手垢にまみれた状態となっている「本能寺の変」像をきれいに洗い流してくれます。

私がこの本の指摘の中で重要だと考えているところを端的に紹介しましょう。

それは、光秀側から見た場合、本能寺の変を成功させるためには、

信長と嫡男信忠を同時に葬らなければならない

ということが必要不可欠の条件だったということ。

そして、

天正10年6月2日、「偶然にも」信長と信忠が京都において同時に居合わせる状態となり、光秀はとある情報筋からそのことを知ったということ。

さらに、光秀はこのような絶好の機会に、怪しまれることなく軍勢を京都に集結させることができる状況にあったということです。

著者の述べられているとおり、これらの極めて稀有な状況が揃わない限り、本能寺の変は起こりえなかったでしょう。このような状況を光秀やいわゆる黒幕などが自らの意志によって作り出すことができたとは思えません(まあ、きっかけを作るくらいのことはできたかもしれませんが)。

謀略説も結構ですが、少なくともこのような偶然を必然であるとする根拠がない限り、謀略説を正面から正当化することはできないように思います。

ちなみにアメリカなんかでは、危機管理上、大統領と副大統領が同時に飛行機に乗ることがないようにしたり、大統領継承順位が非常に細かく規定されているそうですね。

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