調性音楽とは②~終止感について
今回は調性音楽の話の続きです。
ちょっと難しい話も出てきますので、音楽理論に興味のない人は読み飛ばしてくださって結構です。
調性音楽を理解する上でキーポイントになるのは、「終止感」ではないかと思います。
「気をつけ→礼→直れ」のときの音を想定してみて下さい。
ハ長調(C-dur)でこれを演奏すると、「ドミソ→シレソ→ドミソ」という音になりますが、「シレソ→ドミソ」の部分が終止に当たります。
中でもこの場合の終止は、「全終止」と呼ばれるもので、もっとも終止感が強いものになります。
「解決」などと言ったりもします。
終止には、他にも「半終止」「偽終止」「変終止」などがあり、1曲の中で様々な終止が手を変え品を変え出てくる、言い換えれば「どのような形で終止へ向かうか。どのように終止するのか、終止しないのか。あるいは、終止すると見せかけて終止しないのか。」などという遊びを延々と行っていくのが調性音楽です。
したがって、終止の形を感じ取ることができなければ、調性音楽の半分を理解していないのと同じことと言ってよいかと思います(言い過ぎですかね?)。
演奏者の立場から見ると、この「終止」の部分は、文章の句読点と同じようなものと理解することになります。例えば、半終止は「、」、全終止は「。」というように。
つまり、演奏者が「終止」を理解していないと、句読点なしにだらだらと文章を読んでいるのと同じということになってしまいます。
これは演奏者にとってきわめて重要な知識であり感覚なのですが、今までこのことがきちっと説明されている本はあまり見たことがありません。
「終止感」は、人が意識しなくともある程度感じているものですが、今まで「終止」を意識せずに音楽を聴いてこられた方は、是非一度「終止」を意識しながら音楽を聴いてみて下さい。
そこには全く別の音楽世界が広がっていること請け合いです。
といっても、和声の知識が全くない方にはなかなか難しいことかもしれませんね。
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